我執強きがゆえに

 『東京新聞』の最終面に「運勢」という欄がある。干支ごとに、松雲庵主という人の短いことばが書かれているのだが、今日の「み年」の人に向けたことばには考えさせられた。

 み年  我執強きがゆえに果てしなく迷い続ける。仏の語に触れて方向転換する。

 なぜ考えさせられたのかと言えば、このことばは単に「み年」の人が今日という日の運勢を向上させるためのことばではないと思うからだ。我執強きがゆえに果てしなく迷い続ける-----これは、人間にとって永遠の問題と呼ぶべきだろう。
 おっ、さる年には「独りの自分、一度の人生。大切に今日を過ごすべし」とあるぞ。松雲庵主とは、いったいどんな人だろう。「運勢」の名を借りて、何か大きなことを伝えようとしている人なのかも知れないぞ。