完全燃焼

 所属寺の住職が電話をくださったのは3コマ目の最中だった。授業中なので出るわけにはいかないが、このようなタイミングでいただく電話だから何か大きなことがあったのだろうと気になって仕方がない。授業を終えて録音されていたメッセージを聞いたのは30分後のことだった。
 それは、住職のお父さまが還浄されたとの知らせだった。所属寺にとっては前住職である。さっそくお悔やみの短いメールを送ったが、10年前に父親を失うという経験をした者として、それ以上のことばがなかなかみつからない。
 夜遅く、住職からいただいたメールに「完全燃焼」のことばがあった。生きて生きて生き抜いた人の姿に触れ、大切なものをたまわる。自分も生きて生きて生き抜くことができるようにと願う。