「建国記念の日」に開校記念日のことなど考える

 今日は「建国記念の日」なのだそうだ。
 たいていの学校には「開校(創立)記念日」があるが、これは必ずしもその学校が開校(創立)した日ではない。考えてみれば簡単なことで、4月6日とか7日の、その学校が本当に最初の入学式や始業式を挙げた日を記念日にしてしまったら、翌年から年度初めの日が休みになってしまうのだから、春休みと区別がつかなくなってしまう。
 東京の足立区では、区立の中学校の多くが5月1日を開校記念日と定めている。これは、新制中学校が発足した頃の校長会での申し合わせによるものだ。なぜ5月1日かと言えば、それが「メーデー」だからである。メーデーの集会に参加したいという教職員と無用のトラブルを避けるための知恵とも言えるが、当時はそれだけ労働運動というものが尊重され、メーデーというものが重要視されていたということだ。
 僕の出身中学校は足立区立東島根中学校と言うが、開校記念日は9月17日だった。これは、この学校が1960(昭和35)年9月1日付で足立区立第十中学校から分離独立し、9月17日に開校記念式典が挙げられたことによる。一方、出身高校である東京都立上野高校は4月27日が開校記念日だったが、これは以前に書いたようにこの学校が震災後の復興プログラムの一環として設立されたことと関係がある*1。急いで準備をしたものの、設置許可が3月中には間に合わず1924(大正13)年の4月14日付になってしまい、入学式も4月27日にずれこんでしまったのである。第1回の入学式が4月の27日という遅い時期だったので、この日が開校記念日になり得たわけだが、これが6日や7日であったらそうはいかなかったであろうことは先に述べた。
 もっとも、ある時期以降の同窓生の中で、母校の開校記念日が4月27日であることを知ってる人はきわめて少ない。なぜなら、上野高校の開校記念日は毎年変わったからである。年ごとに、いわゆるゴールデンウィークのうち、曜日の関係で飛び石になってしまうところを埋めるように設定されていたのだ。5月4日が休日になる前には、そこを埋めることが多かったように思う。確かに、4月27日が開校記念日で、一日置いて29日が休みというのでは、どうも落ち着かない。同じ休むなら、まとめて休んだ方が教育効果の面でもメリットがあると判断したのだろう。どなたの発案かは知らないが、開校記念日をいつにするかは学校長の裁量だから、それをうまく活用したと言ってよいと思う。
 以前勤めていた学校の教員会議で、こんな話があった。その学校は、創立記念日は9月に置いて休みとし、毎年の創立記念式典は11月に挙げていたのだが、ある年、新しい校長が、創立記念日には生徒を登校させて記念式典を挙げたいと言い出した*2。休みが一日減るのはかなわないという教員集団。会議は紛糾。そこで僕は、母校で開校記念日をどのように取り扱っていたかを説明しながらこう発言した。「学校の創立を記念すべき日に式典を挙げることには賛成です。しかし、創立記念日は休みとするという慣習が存在するのも事実です。そこで、これまでの創立記念日は登校すべき日として記念式典を行い、その上で、毎年の学年歴(年間行事予定表)をつくる際に、休みにしたらよいと思われる日を一日、創立記念日に設定するというのはいかがでしょう。」
 一石二鳥。一挙両得。名案だと思ったし、今もその考えに変わりはないのだが、まったく相手にされなかった。みなさんの頭が固いのか、僕の頭が柔らかすぎるのか。

*1:2008年1月22日付の日記はこちら。http://d.hatena.ne.jp/riverson/20080122

*2:実際、そういう学校は少なからず存在する。開校記念日を休みとするのは決まりごとではない。戦争が終わるまでは、「祭日」(「祝日」でないところがポイント)には生徒・学童は登校して式典を挙げていたわけだし。