菓子を語ろう

 こどもの日。柏餅が気になるのである。ものすごくお気軽にネットで調べてみる。
 まず、『大辞泉』には次のようにある。

[1] しんこ餅を平たく楕円形にのし、小豆あんや味噌あんを入れて二つ折りにし、カシワの若葉で包んで蒸した菓子。端午の節句の供物とする。《季 夏》「手づくりの―とて志野の皿/秋桜子」
[2] 二つ折りにした布団にくるまって寝ること。

 水原秋桜子か。で、『大辞林』はこちら。

[1] 餡(あん)入りの餅を柏の葉で挟み包んだ菓子。五月五日の節句に供える。[季]夏。
[2] 一枚の布団を二つに折り、その中に入って寝ること。

 『大辞林』の「挟み包んだ」という表現は的確だと思うが、『大辞泉』の方が菓子への思いが感じられるかな。最近、「しんこ餅を平たく楕円形にのし」て「二つ折りにし」た柏餅が少なくなっているような気がするけれど、大福のように丸くくるんではいけないと思うのだ、柏餅というものは。そう言えば「味噌あん」もあまり見ないのだが、あれは餅が薄桃色と決まっていた。幼い頃は好まなかったが、ある頃からおいしいと思うようになった。
 以前の職場では、3月3日の前後には桜餅が、5月5日の前後には柏餅が振る舞われた。振る舞われたと言っても、実際には教職員互助会の会費で買っていた。名前は忘れたが、あの日赤通りの和菓子屋の柏餅は美味しかった。味噌あんもあった。桜餅については、残念ながら長命寺「山本や」を超えるものを知らない。
 そうそう。あの学校の卒業式の紅白まんじゅうは、どういうわけだか高等学校のときが青山通りの和菓子屋で、中学校のときが赤坂通りの和菓子屋だった。赤坂通りの方はなんだかペタペタしていてまったく私の口に合わなかった。同意見の人も少なくなかったと思う。以前は、赤坂通りの店などではなく、霞町の「和泉家」だったのだ。私が勤めた最初の年まではそこのだったのだが、残念ながら左前になって店を閉じてしまった。おいしかったのに、和泉家。
 昨日は、歩くついでに谷中でせんべいを買い求めた。菊見煎餅、谷中せんべい、都せんべい。あの町には有名どころがいくつかあるけれど、私は「初音小路」にある店のが好きだ。特に、あそこの胡麻せんべいは絶品だと思う。ま、わかる人だけわかればよいかと。