今日も菓子を語る

 高尾の日には少し早めに着いて、駐車場に車を停めエンジンも切って、携帯ラジオにスイッチを入れる。今日は吉田照美のラジオで、リスナーからの「期待して行った『愛玉子(オーギョーチィ)』で出されたオーギョーチィのぬるさにがっかりした」というメールを紹介していた。
 そう、上野桜木町の「愛玉子」で供されるオーギョーチィはぬるいのだ。ぬるいのぬるくないのって、とにかく並みのぬるさではないのである。一度そのぬるさにがっかりした人は、二度と行かないか、二度目からは「氷オーギョーチィ」を注文する。これはオーギョーチィの上にかき氷をのせたもので、冬でも食べられる。
 みんな、そういう失敗を乗り越えておとなになっていくのだ。おとなの階段をのぼれば「チーワイン」や「チーウイスキー」だって待っている。
 おいしいとかおいしくないとか、レモンシロップってただのかき氷のシロップじゃないかとか、その着色料が心配だとか、ぐだぐだと評論家のような口をきいている場合ではない。「愛玉子」のオーギョーチィはずうっとこのスタイルを守って来たのであって、嫌なら行かなければいいだけの話だ。そして、誰が何と言おうと「愛玉子」のオーギョーチィは本当の本物なのである。