ダールの絶筆を読む

 リーディングの時間に Roald Dahl's Guide to Railway Safety を読むことにした。これは、1991年に当時の British Railways Board が発行した子ども向けのパンフレットで、亡くなる直前の Roald Dahl が少年・少女が鉄道を安全に使えるようにとの願いから書き下ろしたものである。表紙と挿絵はおなじみの Quentin Blake で、やはり描き下ろしである。
 私はこれを、1991年に英国を旅行した際、駅の切符売り場で見つけた。このパンフレットをどう評価すべきかについては、すでにあるところで文章化してある。自分では取るに足らぬものだと思っていたが、ふたりのW先生が業績として評価してくださったことを懐かしく思い出す。
 身の回りにいろいろとゴタゴタしたことがあってしばらく行方不明になっていたのだが、最近ようやく発掘し、教材として活用することが可能となった。学生諸君には、ダールの子どもたちへの優しいまなざしを感じ取ってもらえればありがたいことだと思っている。


 私は、このパンフレットを翻訳して世の中に広めることができればと考えていたが、時機を逸してしまったかとも感じていた。調べてみると、安藤陽という方が、2001年に『ロアルド・ダールの鉄道安全読本』の名で日本経済評論社から出版していることがわかった。Amazon でも入手できるようだが、残念なことに驚くほど高い。したがって、この訳書の方は未見である。