風向きを見る。てのひらを返す。

 あれから一週間。この国の安全を考えながらも、仕事の上で嫌なことがあれば一晩や二晩は平気でクヨクヨしたりイライラしたりする。
 そんなときにもらう何気ない素振りの電話がうれしい。行間に数倍のことばの隠れているメールがありがたい。そういう高度なコミュニケーション能力を備えた人たちの、すべてを包んでくれるかのようなことばに出会って自分を取り戻す。
 風向きを見る。てのひらを返す。それは原発をとりまくことどもについての話であり、私たちの日常でもある。悪意のないことばによって傷つけられたと嘆くとき、自分もまた傷つける側の一人であることを悲しめ。今こそ正論には含羞を。正義には廉恥を。