通学定期券

 両国の江戸東京博物館で、特別展「東京の交通100年博〜都電・バス・地下鉄の“いま・むかし”」を見る。会期も明日までとなり、駆け込むような思いで出かけた次第。
 展示物の中で特に目を引いたものは、館長の竹内誠氏がご自身の通学に使われた都電の定期券を出品されたものだった。竹内氏は高等学校の大先輩にあたる。新制の3期とうかがっているから、私の計算が間違いでなければ、旧制の上野中学校と新制の上野高等学校と、あわせて6年間を上野の山で過ごされた方だと思う。
 定期券に印字されている停留場の名前が、車坂町から、根津宮永町、八重垣町と移り変わった頃は上野中学・上野高校に通われていた頃だろう。乗り換える電車を、途中で21系統から20系統に切り替えられたようだ。やがて停留場の名が大塚窪町に変わるのは、大学に進学されたときなのだろう。窪町といえば教育大最寄りの電停だ。
 このあたりのことを何号か前の『東京人』で読んだように思うのだが、今、それが見当たらないのが残念。それにしても、歴史をやる人にはきちんと「もの」を取っておく人が多いのだとあらためて納得する。数か月前の雑誌を見失ってしまう自分が、少しばかり情けない。
 両国から浅草まで歩き、夕刻、E氏・H氏・S氏と待ち合わせる。雷門近くの店で、学界の動向や英語教育史研究の展望などを肴に日本酒を。E氏は明日のシンポジウムにパネリストとして登壇される。M氏、K氏、T氏と、関わりの深い方も出られるのだが、外せぬ用がありうかがえないのが申し訳ない。