納棺

 夕刻、所属寺で納棺に立ち会わせていただいた。私にとっては初めての体験である。父のときは、しばらく廊下で待っていてくれと言われ、居間に戻った時にはすでに父の遺体は棺に納まっていた。それ以前の葬儀のことは記憶にない。
 係の女性がご遺体の顔に手際よく化粧をしていく。棺に蓋をする直前、その女性がわずかにはみ出した紅を指先で拭う様を見て、不思議と心の動く思いのしたことだった。
 棺を本堂に移して短くお勤め。その後は通夜・葬儀の荘厳を準備する。供笥を出して白餅を杉盛にし、三帖和讃と和讃卓も用意する。瓔珞については外すべきとの指摘を受けた。
 明日は通夜。仕事を終えてから手伝いに出向くので、道路の混雑が心配だ。