問題提起

 金曜日の出講先は授業の開始が2週間遅れている。今日は昼前に散髪、午後は珍しく六本木に出かけ、TOHOシネマズで『英国王のスピーチ』を見る。主演のコリン=ファース(Colin Firth)が白井晃に見えてきてどうにも仕方がなかったのだが、その奇妙な重なりのため余計に入り込んでしまったのだからおもしろいものだ。青山ブックセンターでは、堀田典裕著『自動車と建築:モータリゼーション時代の環境デザイン』(河出書房新社)を買い求めた。もともと私に「専門性」などないわけだが、気付いてみればこんなことに興味があったりする。
 ところで、問題を「定義」するという人がいるようだが、それは「提起」するの間違いではないのだろうか。読み始めた本にこの表現を見つけ、気になってしかたがない。あれこれ調べてみたところ、例のドラッカーが著書に記しているという説があるのだが、ドラッカーさんは日本語で書いたわけではないのだから、なんともあやしい話だ。問題というのは「内包」していたり、それを「発見」したり、ときに「顕在化」したりするもので、議論の必要上「設定」するということはあるにしても、それを「定義」すると言ってよいものか。ことばの座りの悪さに軽くめまいがする。