同級生

 昼前、小学校の「同級生」を名乗る人から電話。ご近所に住んでいて幼稚園から中学校までずっと一緒ではあったが、一度だって「同級生」だったことはないし、正直のところ親しかったという記憶のない名前だった。
 会えないかと言われたが、いかにもあやしい。あっちか、こっちか。出て行くのは危険だと思い、実家に帰るようなことでもあればいつでもついでに寄ってくれと言って電話を切る。
 夕刻、実家に帰ってきたと言ってその人が訪ねてくる。一目見てその人だとわかった。確かに「同級生」ではないが「同窓生」だった。でも、そんなに都合よく実家に帰って来るかな。
 さらにおかしなことは、見知らぬ人と一緒だということだった。ああ、やっぱりね。あっちかこっちかと思っていたが、そっちだったか。その手の話ならば、電話の段階で言ってもらえればよかったのに。
 流転の末にこの道にたどり着いた身としては、ちょっとやそっとのことで揺れたりぶれたり踏み外したりするつもりはない。残念だったね、あなたもわたしも。