黒いユニフォーム

 CSで横浜−阪神戦を見ると、どちらのチームも普段とは違うユニフォームを着ていた。セントラル・リーグの「オールド・ユニホーム・シリーズ」という企画なのだそうだ。ウェブサイトには以下のようにある*1

 伝統あるセ・リーグ6球団が、各々思い入れのある復刻デザインのユニホームを着用して対決。時代を超えて甦る古き良き時代のユニホームを身にまとった選手たちの熱い戦いを、今夏の思い出としてファンの皆様に提供します。
★これまで、各球団が単独で復刻デザインのユニホームを着用することはありましたが、双方が着用することは球界初の試みです。

 タイガースが「思い入れのある復刻デザイン」として選んだのは、大阪タイガース時代の「黒いユニフォーム」と一般に呼ばれる濃紺のユニフォームだった。これについては綱島理友さんが詳しく調べておられ、タイガースの公式サイトにもその一部が掲載されている*2
 このユニフォームは1948年と49年のわずか2年しか使われなかったのだが、多くの人の記憶に残っているようだ。私も、まだ生まれてもいなかった時代のユニフォームではあるのだが、小学校の頃に読んだタイガースの球団史に載っていた写真をよく覚えている。梶岡投手がダイナミックなフォームで投球する姿だった。実際には見たこともない選手のことを鮮明に記憶しているなんて、歴史の道に入る下地はその頃にはできていたのかも知れない。
 戦後の物不足の時代、ストックしていた縦縞の生地もなくなってしまい、仕方なく紺色の生地で仕立てることにしたという話は、職業野球の「裏面史」に特筆されてよいもののひとつだろう。そう言えば、この夏はその手の話のひとつを調べてまとめる予定だったのだ。少し急ぐことにしよう。

*1:http://www.npb.or.jp/cl/great_central/

*2:http://hanshintigers.jp/data/uniform/uniform_1948-1949.html