もう動けない。幸福もこのやうに。

 誕生日。おなじみの人や懐かしい人、また学生たちからメールをもらう。すっかりおっさんになっても、誕生日には独特の感慨があるものだ。みなさんに感謝。
 今日は、ひとりになると安西冬衛のことなど考えていた。この詩人は私の生まれた年の8月に亡くなってしまったのだが、作品には時を超えたいのちがあるもので、私がこの人の「再び誕生日」という詩を知ったのは中学2年の頃だった。
 思えば背伸びした少年であった。黒田三郎は「たかが詩人」と言ったけれど、その少年は詩人にもなれなかった。