下珠数屋町通間之町東入ル

 朝早く入洛し真宗本廟をお参りする。工事中に見学させてもらったときとはまた違う思いで御修復のなった御影堂に足を踏み入れる。ここは大きくて大きくて、それはそれは静かな場所。阿弥陀堂ではちょうど法話の始まる時間だったので、腰を落ち着けて25分間のお話をうかがうことに。ご法話の中の「煩悩は消せないが執着心は消すことができる」とのことばに、その真意をつかみかねた。
 真宗本廟をあとに、法蔵館書店に寄って渉成園(枳殻邸)へ。紅葉の見頃にはまだ少し早かったか。京都駅にも近くホテルの窓さえ見えるこの場所にこれだけ静かな庭のあることを、訪ねるほどに感慨深く思う。園内の落ち葉を掃いている真宗本廟奉仕団の人たちにお疲れさまと思うとき、この季節に京都を歩いたことなどなかったことに気付かされた。
 午後は駅前の大学コンソーシアム京都・キャンパスプラザで学会の月例会。興味深い2本の発表を聴き、研究におけるテーマ設定の大切さを思い知らされる。近畿圏外からの参加者も得たが、もう少し集まりの欲しいところか。懇親会は京都タワービル内の店で京野菜中心の料理をいただきながら和やかに。共同研究を呼びかける同志の声に励まされ、新しい仲間の思いがけぬことばに大いに共感する。
 さらにその後の「事務局会議」は新大阪に場所を移して遅くまで。何度もことばを交わした友の、また新たな横顔を知る。悲しみを抱えた人のことばは重く、そうだからこそ強くひきつけられる。あちゃ、先日の講演のことを聞こうと思っていたのにうっかりしてしまった。