おっさん候補生の楽しみ

 何をしているときがいちばん好きな時間ですか?
 お気に入りのひとときにはどんなことをしていますか?
 

 思いがけずもらった問いかけに、あらためて自分の好きな時間のことを考えてみる。
 以前もここに書いたと思うが、所属寺の本堂の前にある藤棚はお気に入りの場所だ。その下であれこれのことを考えながら、あるいは何も考えずに一服しているときには、そんな時間が永遠に続けばよいと思う。最初に思いついたのは、このことだった。
 さて、他には何が好きだろうと考えるうち、断然インドア派だと思っていた自分には少し中途半端なところがあることに気付いた。実は、動いているのも好きなのだ。身体を動かしているというのではなく、文字通り移動しているのが好きなのである。
 たとえば、好きな曲やらラジオやらを聴きながらクルマをあてもなく乗り回し、適当なところに停めて窓を開けては一服。やっぱり一服か。車窓の景色を楽しみながら電車やバスに揺られ「着いたところが目的地」というのも魅力的だ。
 走るのは嫌だが歩くのはあまり苦にならないので、古本屋を冷やかしながら神保町あたりをぶらぶらするのもよい。疲れたら「ランチョン」の窓際の席に座って生ビール。あるいは冨山房の地下の「Folio」でアールグレイ。おお、やっぱり一服しているぞ。
 きちんとした書斎があったなら、古い本を開きながらパイプをくゆらせてもみたいのだが、今はまだ夢の夢という感じ。いや、もう少しおっさんの度を深くしてからでもよいか。