Big Ben Minute

 私たちのようなBCLの世代には、ビッグベンの鐘の音はBBCの時報やニュースのオープニングとしてなじみ深いものがある。今日は、家庭教師先で入試問題*1のピースとして Peter Macdonald (2004), Big Ben: The Bell, the Clock and the Tower の一文を読んだのだが、今日ここに書くにふさわしい興味深い記述があった。
 1940年の今日、つまり11月10日に、BBCは午後9時ちょうどに家庭向け放送に流す音として初めてビッグベンの音を採用したのだという。多くの聖職者や国会議員たちのはたらきかけに応じてBBCが決断したものだったとのことだが、なぜこの日を選んで始めたのかと言えば、それはこの日が Remembrance Day*2だったからである。
 英国の Remembrance Day は第一次世界大戦が終結した11月11日にちなんで毎年11月の第二日曜日と定められているが、1940年のその日は11月10日であった。この日のビッグベンの音は、ナチス・ドイツとの戦いの中にあった英国の国民に戦争の事実を自覚させる大きな目的を持っていたのである。ビッグベンと戦争との少なからぬ関わりのひとつと言えよう。

*1:東京慈恵会医科大学の2009年度の問題。出典を明示しているというだけで立派な大学だと思ってしまうが、いやいや、もともとたいへん立派な大学だ。

*2:日本語では「英霊記念日」と訳すことが多いようだ。