また夢になるといけねえ

 港区は芝のお寺で報恩講。お参りさせていただくようになってもう何年になるだろう。地下鉄の大門駅からの道のりも年ごとに短くなっているように感じられる。
 今日、お寺の門柱に「芝金杉浜町」とあるのに初めて気付き、ここがあの「芝浜」の舞台に近いことを知った。八丁堀に開基の後、寛永年間の1634年に当地に移ったとのことだから、例の魚屋の夫婦もこのお寺の前を通ったのかも知れないなどと思いを巡らしてみる。
 ご法話では、南無阿弥陀仏の教えを自分のことばで表現できるかという点に課題をいただいた。また、繰り返し語られた「驚く力」と、おしまいの方の「盗まれるようなもんを拝んどるからいかんのや」ということばが特に響いた。
 もうお目にかかることのかなわぬ先生も多い中で、それでも何人もの先生に出遇えたご縁をありがたく思う。何度でもうかがい、聴いて聴いて聴き続けること。この一点において生きていけたらと思う。