「ポウニテイウ」はお好き?

 mail を「メール」ではなく「メイル」と書くのはあまり感心しない。では raincoat は「レインコート」ではなく「レーンコート」ですかと問われると困ってしまうのだが、そういうあなただって、わざわざ「レインコウト」とは書かないだろうし、日本語の文脈の中で mail を「メイル」を超えて「メイウ」と書く度胸はないだろう。
 たしかに nail は「ネール」ではなく「ネイル」だけれど、rail は「レイル」ではなく「レール」だし、tail は「テイル」ではなく「テール」だ。要するに、これは英語の音をカタカナに写し取る《きまり》の問題ではなく、外来語をどう表記するかという日本語としての《おさまり》の問題なのである。だから、やれ二重母音のへったくれのと言ってその手の《きまり》をいつでもどこでもあてはめようとしてはならない。
 英語を教える立場の人たちの中には、英語を身につけるときに役に立つようにと、そういった《きまり》を用いたい人もいるようだが、「mail ということばはカタカナで『メール』と書くけれど、英語の発音としては『メイル』の方が近いね」などと言って、生徒や学生を英語のつづりと発音の関係を意識する方へ振り向けていく方が賢いのだろうと思う。世の中が英語の教師を中心に回っていると思ったら大間違いだ。

  雨やどり 本屋の前
  通りすぎた彼とポニーテール

 そういえば、こんな歌があった。ここは「ポニーテール」でお願いしたい。「ポウニテイウ」なんて、それ何?