あまりに穏やかな

 梅雨の晴れ間の午後、所属寺の聞法会に出かける。少し早く着いたので、本堂前の藤棚へ。ベンチに腰を下ろし、iPod で AZUKI など聴きながら一服すれば、吹き抜ける風が心地よい。穏やかな、あまりに穏やかなしあわせの時間。
 かたわらの掲示板の法語ポスターには「現代の愚かさは知性に満ちた愚かさである」のことば。住職の法話集を輪読した聞法会の内容と合わせて、響くものがあった。
 懇親会は駅の北口へ。いつもの店とは違って明るく広い板の間に座ったが、周りは家族連ればかり。何人もの子どもたちが、走る、跳ぶ、音を立てる、声を上げる。おお、持参のおもちゃまで。親たちは、気にしない、構わない、叱らない。おや、子どもに近づいたかと思えば、口を開けさせて食べ物を押し込んでいる。
 可愛い可愛いは家の中だけ。昔の人のことばのなんと重いことか。