ズーム、ズーム

 新幹線N700の中で更新。窓際の席には電源コンセントが備え付けられていることがありがたい。ケーブルテレビのおかげで買ってしまったイーモバイルも威力を発揮している。
 広島に「義務としての旅」を果たしたのが高2になる春休みのことだった。以来、研究会や組合の集会、修学旅行の実地踏査に引率と、数え切れないほどこの町を訪れ、最近は年に2回のペースで学会の月例会や理事会のために出かけている。修学旅行の実踏と引率では、広島城址に残されている中国軍管区司令部の地下通信室跡の内部も見学させてもらったし、比治山のABCCも訪問したし、旧陸軍被服支廠の爆風で曲げられた鉄扉も見に行ったし、今は郷土資料館となっている宇品の陸軍糧秣支廠缶詰工場跡も見学した。最近は会合の前後に夜の街に繰り出すばかりだが、市街地ならば、たいがいのところへ地図なしで行けるようになってしまったのだ。
 平和学習者や観光客といった気分を失ってしまった私が、今回どうしても訪れたかったのが「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」こと(新しい)広島市民球場である。広島駅に荷物を置き、まだ足を踏み入れたことのなかった駅の左手へと歩を進める。赤く舗装された歩道を800メートルほど行くと、新しい球場がその姿を現す。
 外から眺めるだけでよいと思って行ったのだが、今日はコンコースが無料で開放されているとのこと。どうりで球場に向かう人が多いわけだ。これはラッキーとプロムナードの緩やかなスロープを上がれば、メインゲートから美しいグラウンドとスタンドを一望することができた。左回りにコンコースをぐるりと1周してみたが、一部、外野フェンスのライン際が死角になってしまう席がありそうだが、そこを除けばゲームの見やすさは申し分ないと思った。なにより、独特の開放的な造りのこの球場には、そこに身をおいているだけで楽しい気分にさせるものがあるように感じた。
 いつか、スタンドに腰を下ろし、カクテル光線のもとでのプレーを見てみたい。そのときは「カープうどん」も忘れずに食べよう。