広島で英語教育の未来を考える

 英学史学会中国・四国支部の研究例会のため広島へ。この地に縁をいただいて何年にもなるが、何か「けじめ」のようなものが欲しくなったこともあり、この会に加えてもらうことにしたのである。
 会員総会に続き、戦前の高等学校や専門学校を受験しようとする中学生向けの月刊雑誌『上級英語』に関する発表と、新しい学習指導要領のもとでの日本の英語教育に関わるシンポジウムを聴く。
 発表では、中学上級生向けの英語雑誌のレベルの高さもさることながら、戦前の出版物の美しさやレイアウトの巧みさに、今さらながら驚いた。シンポジウムは、4人のパネリストがそれぞれの立場で自由に語られるのは実に刺激的だったが、けっしてバラバラにならず、それどころか不思議な統一感あるいは一体感といったものが感じられるところが興味深かった。この会が英学史の中でも特に英語教育史の分野での論客を数多く輩出してきた伝統の重みを感じる。歴史の視点を持って現在と過去を考えることの意義をさりげなく訴えられたコーディネータの労を多としたい。
 懇親会は「赤い屋根の喫茶店」のある町、毘沙門台で。面識のある方がほとんどではあるが、あらためて新入会員として紹介していただく。いつもは宴会のお世話をする側だが、今夜ばかりはすっかりゲスト気分を満喫させてもらった。
 二次会のあとはアストラムラインで本通へ。T先生に「Uちゃんと合体ですか。ご自愛(酒量のセーブ)ください」とのメールをいただいて送り出されて来たが、このことばの選びは、まさに慧眼のなせるわざであったか(合体というのはどうかとも思うが)。U先生には今回もすっかりお世話になった。感謝。