またそのうちに

 きっと昨日のうちに配達されていたのであろう。大きな会社や学校でもないのに、それが一日遅れて今日になって私の許に届けられた。学会の事務などをやっているおかげで、訃報を出したり受けたりすることにはずいぶん慣れているつもりだったが、今日ばかりはその一枚の葉書の重みにことばを失った。
 似ているというわけではないのだが、亡くなった父の面影をどこかに持った方だった。勝手に父の面影を重ねていたのかも知れない。父が亡くなった縁でその方に出遇い、それから何年かの時が流れ、今、その方が父と同じ歳でお浄土に還られたことを知らされることとなった。この事実の積み重ねに、いのちの現実を思わずにはいられない。
 つまびらかにはできないが、品川駅のコンコースで偶然お目にかかったのが親しくことばを交わさせていただいた最後になってしまった。そのときの「またそのうちに」という約束は、もう永遠に果たせないことになってしまった。今はただ、み名を称えて手を合わせるばかりである。