第一志望はIBC

 日曜日。家でボーっと見ているつもりだったテレビがたまらなく面白かった。食文化、伝統芸能、職人技といったものをかなり真面目に取材した番組を立て続けに見て気付いたことは、制作したのがいずれもキー局ではなかったことだ。ひとつはテレビ西日本(TNC)、もうひとつは北海道放送(HBC)のつくった番組だった。そう言えば、先日も興味深く見た番組は中国放送(RCC)の制作だった。
 近頃はキー局の制作費も削減され、タイムテーブルを埋めるために系列局の番組を安く買い取っているのだろうという意地悪な見方もできないではない。しかし、ここは地方局とかローカル局と呼ばれた各地の放送局が優れた番組を送り出す力を持っていることを喜んだ方がよいように思う。
 小学生の頃から地方の放送局に興味があった。もう少し強く背中を押す何かがあれば、大学を卒業するとき、僕は岩手放送(IBC)の採用試験に挑んでいた。まあ、記念受験に終わっただろうけれど。秘密にしていたわけではないが、あまり語ったことのない本当の話だ。