あたたかい学会

 学会誌の編集に関わっているが、ときおり投稿規程を守れない執筆者がいるのは困りものだ。
 私たちの学会誌では、20ページ以内というルールを越えた場合、30ページまでという約束で費用を自己負担してもらうことになっている。「はい、あなたは○○円です」と事務的に片付けてしまうやり方もあるのだろうが、裏方ではかなりの手間をかけて仕事を進める。今回は、審査委員に相談したところ、超過分を可能な限り少なくするために論文を「詰める」提案をしてくださることになり、その内容について執筆者に同意してもらえるかを尋ねた上で組版に回すことになった。結果として、論文は引き締まったものになるのだから、ある意味、懇切丁寧な指導とも言える。
 お金のことやら、場合によっては失格になるということやら、その種の手紙を執筆者に宛てて書くのはなかなか億劫なものだが、「忙しい中、お手数をおかけします」とか「損な役回りばかりさせて申し訳ありません」とか、各方面からあたたかいことばをいただき、かえって恐縮する。私たちの会がよい人たちに支えられていることを実感する瞬間だ。