Look at the chalkboard.

 チョークにはうるさい。ある女子校に勤めていた頃、あまりに手が荒れるので、チョークの品質に問題があるのではないかと何気なく教頭に相談したところ、かなり重く受け止めてくれて、さっそく何種類かのチョークを取り寄せてくれたことがある。すべてを使い比べてモニターのようなことをしたのだが、その後、採用品が変更されたかどうかは記憶にない。
 チョークの原料には炭酸カルシウムと石膏カルシウムの2種類があり、前者は硬く、後者は軟らかい。私が気に入っているのは、炭酸カルシウムを原料にしたもので、特に「セラミックチョーク」の名で販売されているものだ。販売しているのは葛飾区内の会社だが、手許の箱にはフランス製の表示がある。
 このチョークは、細身でとにかく硬いのだが、力を入れてもまず折れない。表面には特殊なコーティングが施してあり、手にほとんど粉がつかないのもありがたい。同種の原料を使い、同様のコーティングをしている他社の製品もあるが、こちらはポキポキ折れるし、手も粉だらけになってしまうのだ。
 今、使ってみたいと思っているのは、この会社が製造している、卵の殻を原料として使った「エコチョーク」と呼ばれるものだ。マヨネーズの工場から出る卵の殻を再利用したもので、実は「セラミックチョーク」にも10パーセントほど使われているのだが、こちらはその比率を60パーセントにまで高めている。「エコ」ということばを一般的には胡散臭く感じるのだが、これはちょいとホンモノの感じがする。