もう会えない人

 8月15日に書いた留萌の念仏者*1に会いに行こうと、私たちの住職から言われたときは実にうれしかった。この日あたりはどうだろうと示されたのはちょうど学園祭のために授業がなくなる時期で、まさに奇跡だと思ったし、ありがたい縁に感謝しながら飛行機の時刻表などをネットで調べたりもしていた。
 この方のことを方々に問い合わせていらっしゃった結果をうかがったのは、実は月曜日のことだった。ここに書く機会を逸してしまっていたが、やはり記しておこう。
 無念。すでに2年前にお浄土に還ってしまわれたのこと。せめてご家族にお話をうかがえればとたずねてみると、みなさん札幌の町などに出てしまわれて、もうどなたも留萌にはいらっしゃらないとの話であった。
 留萌はニシンの町。名も無き念仏者が「銀鱗が煌く古里は私を育ててくれた、念仏の土壌でありました」と綴ったその海辺の町に、この家族の念仏の声は絶えてしまったということか。もう会うことのかなわないこの先達に、せめて文章を通じて出遇えたことを感謝するばかりである。合掌。

*1:http://d.hatena.ne.jp/riverson/20080815