リリーライン

 気分転換にと、この3月30日に運行を開始した「日暮里・舎人ライナー」に、沿線の散策などと称して乗りに出かける。この新しい乗り物はいわゆる「新交通システム」と呼ばれるもののうち AGT(Automated Guideway Transit)」に分類されるもので、専用軌道をゴムタイヤで走る。神戸の「ポートライナー」、広島の「アストラムライン」、東京の「ゆりかもめ」などと同種のものだ。
 1日乗車券「都営まるごときっぷ」を買って何度か乗り降りしたが、日曜日ということもあるのだろうか、どの便もなかなかの混雑ぶりを見せていた。混み合っていて苦しいというわけではないが、今のことばで表現すれば「微妙に」混んでいるのである。あるいは「普通に」混んでいる。これなら「開業5年で廃止」などということはないかと少し安心する。
 ゴムタイヤで走っているとあって、乗り心地もなかなかのものだ。アストラムラインなどと比べると車輌の質感が低いのは気になるところだが、このご時世のこと、あまり贅沢は言えないのかも。
 扇大橋駅と足立小台駅の間で荒川を渡るが、そのときの高度がものすごい。首都高速道路の高架橋をまたいで走るのだ。強い横風に耐えられるのだろうかと心配になるほどである。高所恐怖症の方にはお薦めしないが、見晴らしは太鼓判を押そう。荒川の水、土手の緑、空を背景に高速道路の高架橋が曲線を描く。「わがまち足立」の最も美しい風景がそこにある。
 しかし、「新交通_日暮里・舎人線(仮称)」が公募の結果「日暮里・舎人ライナー」という正式名称になったというのはいったいどういうわけだ。僧侶であり鉄道仲間であるT氏が応募したという「ゆめりんく」や「リリーライン」の方がずっとよかったな。「ニッポ」と「トネ」の2つの「」を取って「リリーライン」。何票集まったのかなあ。