ピポーの電車

 4月1日だからウソをついてもいいと言われても、日頃、ウソというものをついたことがまったくないもので、なんとも困ってしまうなあ。…などと、思いっきり大ウソをついたところで今日の日記は始まる。
 千代田線と小田急で向ヶ丘遊園まで。この春から仕事をもらった大学の「就任の会」で、辞令をいただきガイダンスを受ける。昨日と打って変わってウソのような天気である。4月1日だけに。富士山を背景に多摩川堤のソメイヨシノがまぶしかった。小田急はこの3月に新しいブランドマークを定めたとのこと。先頭だけでなく、すべての車輌の帯の、それも中央にマークが描かれているところが斬新である。
 向ヶ丘遊園の駅前でバスに乗ろうとしたとき、風のあおりで目にゴミが入った。チクチク、ゴロゴロとずっと痛くて、何度目薬をさしてもゴミは流れ出てくる気配すらない。そのうち、まぶたまで腫れてきてしまった。さては固いものが刺さって眼球に傷でもつけたか。帰り道、たまらず新宿駅前で眼科を探して飛び込んだ。
 ビルの地下にある小綺麗なオフィス。上品な感じの女医さんに緊張しながら診てもらうと、確かに入っていた。それはそれは小さな黒い物体。物体というほどの大きさもない。大のおとなが、この図体をして、あんなに小さなものに苦しめられてしまうとは。なんともウソのような本当の話。4月1日だけに。