小口に旨味はないというのが本音だろうが

 船橋へ。学会の会計の用務で、某都市銀行の船橋支店を訪ねた。
 先日、その銀行の無人出張所にあるATMで会の通帳の記帳をしようとしたところ、磁気エラーとかで通帳をはねられてしまった。では、カードで残高の確認だけでもと思ったのだが、今度は暗証番号が違うとのことで使えなくなってしまった。人間のすることだし、絶対に間違えるはずはないなどと言うつもりはないが、会のカードの暗証番号はもうひとつ持っている「ゆうちょ銀行」のものと共通であり、間違えるはずがない。後日、最寄りの支店に通帳を持ち込んだところ、通帳の磁気に異常はなくATMの側のトラブルだったとのことだった。ならば、カードだってATMが読み損なったと考えるのが筋ではないかと思うのだが、銀行というのはそういう所ではないらしい。僕が暗証番号の入力を間違えたのだとの立場はとうとう崩されることはなかった。
 この口座は船橋にお住まいだった会計担当のI先生が開いてくださったものだったが、先生がお浄土へ還られた今、先生のお名前が代表者として記されている口座をそのままにしておくのもまずいかと思い、解約することにした。船橋支店に電話をかけてあれこれ教えてもらい、書類を調えて今日の手続きとなった次第。会のお金は無事に守ることができた。
 今日、船橋支店に出向いたついでに、口座名義の代表者名を変更することはできないのか尋ねてみた。その銀行(の少なくとも船橋支店)では、 法人格を持たない団体の代表者名による口座は個人口座と同じ扱いとなり、代表者名の変更は受け付けないとのこと。学生時代、大学祭の事務局長を務めていたときにも通帳をあずかっていたのだが、当時のS銀行巣鴨支店では代表者名の変更を受け付けてくれたことを伝えると、窓口で対応してくれた女性は「あら、そうですか。ふうん」と言った口ぶり。その種の団体の場合には、代表者が代われば解約して新しい口座を作ってもらうのが普通だとも言っていた。
 ついでに、個人口座と同じ扱いならば、ここで新規に口座を開設し直せば、この銀行のネットバンキングのサービスは受けられるかとも尋ねてみた。実際、入金状況が家のパソコンで確認できるのは大きな魅力なのだ。すると今度は法人扱いだからダメだとの答え。
 なんだろう、このご都合主義は。僕たちの会の口座は、専ら銀行側の都合で個人口座になったり法人口座になったりするのだ。そして、いずれの場合も僕たちが不便を強いられる答えが用意されている。顧客満足などまったく考えていないことがよくわかる。
 僕らのような学会でなくても、手芸のサークルとか、山歩きの会とか、小さな団体のお金を銀行に預けようとする人は多いことだろう。そういう人たちは、代表者が代わるたびに、口座の解約と新規開設を繰り返しているわけだ。架空の口座が開かれ犯罪等に結びつくのを防ぐためだと銀行は言う。しかし、数万円、多くても数十万の金を預ける口座のどこに犯罪の予兆が見出せるというのか。銀行は、カテゴライズの方法を見直し、個人ではなく法人でもない、グループの名による口座の開設を直ちに認めよ。ここに強く要望する。