チョウvsまち論争に強敵現る

 昨日の日記に思いがけず複数のコメントをいただいたので、続編を書いてみようと思う。昨日は広島市内の「幟町」を「ノボリチョウ」と読むか「のぼりまち」と読むかを議論したのだが、問題はそれにとどまらなくなる気配だ。
 umamotoさんから「白島本町」が「はくしまほんまち」であり、tmrowingさんから「与野本町」が「よのほんまち」と読まれることをうかがい、急に日本中の「本町」が気になり出してしまった。とりあえず、日本郵便のウェブサイトにある《郵便番号検索》で、都内の「本町」を探してみた。東京都で「本町」という町があるのは次の12の自治体である*1

  • 渋谷区
  • 中野区
  • 板橋区
  • 八王子市
  • 青梅市
  • 府中市
  • 小金井市
  • 東村山市
  • 国分寺市
  • 福生市
  • 東久留米市
  • 武蔵村山市 (行政順)

そのうち、「本町」を「ほんまち」と読むのは、次の3つの自治体。

  • 渋谷区
  • 府中市
  • 武蔵村山市

一方、「ホンチョウ」と読むのは、以下の9つの自治体である。

  • 中野区
  • 板橋区
  • 八王子市
  • 青梅市
  • 小金井市
  • 東村山市
  • 国分寺市
  • 福生市
  • 東久留米市

 このほか、今は合併して西東京市になってしまった、かつての田無市と保谷市には、どちらにも「本町」があり、いずれも読み方は「ホンチョウ」であった。現在は、旧田無市本町は西東京市田無町に、旧保谷市本町は西東京市保谷町になっている。

 また、現在の中央区は、かつての京橋区と日本橋区が合併して生まれたものだが、日本橋区の名が消えることを快く思わなかった彼らは、旧日本橋区内の町のすべてに日本橋の名を冠した。そのような経緯で、旧日本橋区本町は中央区日本橋本町となったのである。読み方は一貫して「ホンチョウ」である。

 なお、かつての大森区と蒲田区が合併して生まれた現在の大田区にも大森本町と蒲田本町が存在し、いずれも読み方は「ホンチョウ」である。ただし、旧区制下では大森区本町と蒲田区本町は存在しなかったようだ。

 東京では「ホンチョウ」が優勢のようだが、少し北に目を移して「つる舞うかたちの群馬県」を見てみると、行政順で数えて上から5つの市のすべてに「本町」が存在することがわかる。5つの市とは、

  • 「県都前橋生糸の市」の前橋市
  • 「関東と信越つなぐ高崎市」の高崎市
  • 「桐生は日本の機どころ」の桐生市
  • 「銘仙織出す伊勢崎市」の伊勢崎市
  • 「太田金山子育呑龍」の太田市

である。
 「上毛かるた」は余分な話だが、このうち、前橋市と伊勢崎市の「本町」は「ほんまち」であり、桐生市と太田市の「本町」は「ホンチョウ」である。高崎市はどうしたって?高崎市の「本町」は「もとまち」と読むという。むむむ、強敵出現。かくして、我々はこの議論に新たな視点を与えられたのであった。

*1:「○○本町」という町は除き、単純に「本町」という名の町のある自治体のみを探した。