S子は幸子か春麗か

 東京は未明から雪。東京の城北地区から都心を抜け、西に向かってクルマを走らせて行くと、雪のひとひらひとひらがどんどん大きくなり降り方も激しくなってきた。このまま埋もれてしまいそうな気分になった頃、無事に国立のキャンパスに到着。
 2コマの授業を終えた頃にはいくらか小降りになっていたか。少しクルマを走らせて、街道沿いの食堂で昼食。煮鯖などでご飯をパクついていると、店内の若い女性と目が合った。ほぼ同じタイミングで「ああ!」。続けて大きな声で「先生!」と叫ばれて少々きまりわるくもあったが、中3の時にクラスを受け持ったS子さんだった。もう大学4年とのことだから、一昨日の彼女の3級上になる。ご家族で見えていたので、少しご挨拶。三者面談のことなど思い出すうち、さまざまのことがよみがえってくる。その場を辞して西東京のサークルに向かう途中も、ハンドルを握りながらさらにいろいろなことを思い出した。あまりに急のことできちんと話せなかったことが申し訳ない。
 帰宅して夕食を済ませたあと、昔の写真を引っ張り出し、懐かしい顔の数々をしばらく眺めて過ごす。知らない人ばかりの街に紛れて密やかに暮らしているつもりだったが、こんなにたくさんの人たちと関わって生きてきたのだとあらためて知る。


 今日のタイトルは『相棒』より借用。