スクラップブック

 学会の理事会と月例会。明後日に実施の試験問題をどうしても明日までに仕上げねばならないので、懇親会で絶対に飲まずなんとしても早く帰るためにクルマで出かける。二次会へと向かうメンバーに別れを告げ、まさに後ろ髪を引かれる思いで帰宅。作問はなかなか捗らないが、朝になる前にはなんとかなるだろう。
 例会の発表は2本。2本目の東博通氏のご発表「『北の街の英語教師』を上梓して」では、調査・研究が1冊の本になるまでをドキドキしながらうかがうことができた。その中で、「北の街の英語教師」こと浜林生之助氏のスクラップブックを見せていただく機会を得た。ご自分の原稿が各種の新聞に掲載されたものを几帳面にスクラップしていらっしゃるものだったが、途中からご子息の浜林正夫氏に関するものが大半を占めるようになっていることに気付いた。会のあとで仲間のひとりにそのことを言うと、生之助氏の亡くなったあともご家族が引き継いでスクラップを続けていらっしゃったものだろうとの認識が示され、なるほどと合点がいくと同時に、その洞察の鋭さに感心した。
 スクラップブックを引き継ぐ家族。言わば「知の遺産」とでも呼ぶべきものを相続するその姿に、大きく心が動かされた。