平成生まれの伝統校

 1989年の今日、1月8日、日本の元号は「平成」となった。小渕さんが記者会見で新しい元号の書かれた額を見せたのは、前日の1月7日だったか。もともと仕事以外では元号を使わないこともあって、今でも「平成」という響きにはなじみがないのだが、それでももう20年だもの。早いものである。
 新しい元号になってしばらくすると、これを名乗る学校や企業が次々に生まれた。最初にそれらを目にした時の違和感は相当なものだったことを思い出す。現在、校名に「平成」が含まれる四年制大学は、

  • 帝京平成大学
  • 福山平成大学
  • 平成音楽大学
  • 平成国際大学(50音順)

と4校あるが、このうちの1校は所属学会の会長の勤務校でもあり、個人的には違和感は相当に薄まってきている。
 ものはついでと「昭和」・「大正」・「明治」についても調べてみると、

  • 昭和大学
  • 昭和音楽大学
  • 昭和女子大学
  • 昭和薬科大学
  • 大正大学
  • 明治大学
  • 明治学院大学
  • 明治鍼灸大学
  • 明治薬科大学(名称から「大学」を除いた部分の50音順)

の名前が見つかる。「大正」が1校しかないのは、この時代が短かったからか。なお、明治鍼灸大学はこの4月に明治国際医療大学に改称の予定だそうだが、「明治」の名は無事に守られる。
 どの大学もそれぞれに歴史を重ねてきたわけだが、これらの大学が生まれたときや改称してこの名前になったときには、僕が「平成」を名乗る大学を初めて見たときに抱いた違和感のようなものを感じた人はいなかったのだろうか。ちょっと気になる。
 気になると言えば、江戸時代の終わり、日本の元号が「慶応」だった頃にそれを名乗った「慶應義塾」はどうだったのだろう。同じような違和感を感じた人はいたのだろうか。もっとも「慶應義塾」がこれを名乗ったのは慶応4年=明治元年のことだったから、もしかすると「明治義塾」になっていたのかも知れない。そうすると今の「早慶戦(慶早戦)」は「早明戦(明早戦)」になっていたのか。明治大学は違う名前になっていたのかなあ。まあ、どうでもよさそうなことをあれこれ考えているのは楽しいな。
 いずれにしても、私学の雄と呼ばれる伝統校の1つが元号を取って名乗ったというのは事実である。今から100年も経てば、「平成」を名乗る大学も「伝統校ですね」「歴史のある大学ですね」ときっと言われるようになる。それを見届けるほどまで長くは生きられそうにないのが残念だ。