過信

 高尾への往復で高速道路上の事故を3件も見るのだから、どうしたことかと思う。特に、朝の事故はクルマ4台が関わる大きなものだった。通りかかったのは事故が起きた直後のようで、警察も救急もまだ来る前だった。2車線をふさいでいたものだから、ゆずりあって路肩をゆっくりと走ったが、通り過ぎるとき、1台のワゴン車が横転しフロントガラス全面にひびが入っているのが見えた。運転者だろうか、同乗者だろうか、力なく中央分離帯の縁に座り込んでいる人の姿も見えた。
 この事故の原因はわからないが、私たちが心がけることで事故というものを防げるのならば、日頃からその意識を高めたい。急な加減速や急な車線変更など「急」を戒める声をよく聞くが、それと並んで問題とすべきは数々の「過」であろう。スピードの超過に荷物の過積載。もっとも事故の原因となりやすいのは、自動車性能の過信であり、運転技能の過信だ。
 どんなにいいクルマだって、制動距離がゼロということはあり得ない。ならば、しかるべき車間を保つのは当然のことだ。それなのに、あおり、割り込み、前へ前へと急ぐクルマをよく見かける。高いクルマや速いクルマに乗ると、エラくなったような気になり、どんな運転でもできるような気になるのだろう。自分だけは事故を起こさないという慢心は、交通事故の痛ましさがどれほど報じられてもまったく変わらない。なんとも困ったことだ。