今 私も生きて 明日に夢をかける

 いつだったか会の仲間でカラオケに行ったとき、村下孝蔵の曲が続いてしまって驚いたことがあった。広島のUちゃんが「松山行きフェリー」で、私が「夢の跡」だったと思う。わかる人にしかわからない話だが、この2曲が重なるということにはなかなかに深い意味があるのである。
 今日は高尾で2コマの補講をこなしたあと電車で移動し、築地の浜離宮朝日ホールで開催された「村下孝蔵 十三回忌 〜同窓会2011〜」の席に着いた。私がこの「同窓会」に参加するのは3回目。いろいろあって最初のときに誘ってくれた人と出かけることはもうないと思うが、今年はうれしいことにそのUちゃんと席を並べることができた。
 曲目は「駄目な男」「ロマンスカー」「この国に生まれてよかった」「レンガ通り」「離愁」「かざぐるま」。ゲストの渡辺真知子さんの「初恋」とオリジナル曲の「それでも I love you」をはさみ「春雨」「踊り子」「同窓会」「丘の上から」。アンコールで「松山行きフェリー」。さらに「初恋」「青春の日々に」。
 村下孝蔵のファンは概して歌がうまいのである。去年も思ったことだが、一緒にと勧められた最後の「青春の日々に」をさらりと歌いこなしてしまうなどというのは、どうにも並のことではない。
 よい時を過ごし、夜は大江戸線で深川森下町へ。山利喜を訪ねるのはずいぶん久しぶりだ。ビルになってからは初めてのこと。ずいぶん高級感のある居酒屋になってしまったとも感じるけれど、これはこれで山利喜らしさなのだろうと思う。
 さらには、また大江戸線に乗って上野広小路のあたりへ。どうにも歌の気分だったのだろう。マイクを交互に握りながら村下孝蔵ばかりの1時間半。これはこの店で初めてかかる曲でしょうなどと妙な盛り上がり方で、何をやってるんだかと思いながら、でも楽しかった。
 Uちゃんには6月25日にRCCで放送された特別番組「歌人〜村下孝蔵 十三回忌」を録音したCDをもらった。さっそく聞かせてもらったが、村下さんがお浄土に還られたあとファンになったという若い人からメッセージが寄せられていたことが印象的だった。
 あれから12年。もう会えない人の遺してくれたたくさんのうたが、今も確かに息づいている。うたのいのちの永遠を思う。