人恋しくて 一人も好きで

 ソニーミュージックより村下孝蔵のCD『この国に生まれてよかった−村下孝蔵セレクションアルバム』とDVD『歌人 '95』が届く。明日が発売日と聞いていたから少し驚いた。
 村下さんが亡くなって12年になるが、今度のCDには、リハーサル中のスタジオで倒れる1週間前に松江の「マリンゲートしまね」というところで開催されたライブの際の歌が4曲、スペシャルトラックとして収められている。地元のFM局が収録し保存してあったのが今年になって見つかったのだという。
 さっそく聴いてみた。ギターのテクニックは見事の一言。声の出ていないところや支えきれていないところ、また音程のあいまいなところもいくらかあるにはあるけれど、それも今になって思えばという程度のものだ。この歌声に、彼の10日後の死を予感させるものはない。
 死はいつだって日常のうちにある。大好きな人の歌声に、そのことをあらためて教えられる。間もなく五月雨忌。今年は十三回忌にあたる。気がつけば、そのときの彼の年齢になってしまった。