吉祥寺へ

 高尾での3コマを終えて吉祥寺へ。京王線の車内では本を読んでいたのだが、急に酸っぱいような妙な臭いがしてきた。顔を上げると、スーツ姿の初老の男性が赤い顔をして目を閉じ、フウフウと息をしている。どうにも顔が近いと思ったら、私に覆い被さるようにしてつり革に身体を預けているのだ。明らかに酩酊状態にあるこの男性がまさかの嘔吐に及んだ場合、その吐瀉物を受けるのは私である。そして、それを予感させるような臭気がすでに私を襲っている。ああ、考えるだけで気持ち悪い。
 難を逃れたのはまったくの幸いであった。明大前で井の頭線に乗り換えて吉祥寺に向かう。3月までお世話になった学校の先生方が送別会をしてくださるとのことで、ありがたいことと出向いたのだ。懐かしい人々と過ごすこと3時間。こうして送り出していただくのは2度目で、前回も今回もまったくの私のわがままで辞めさせてもらったのだが、あたたかく送り出していただきただただ感謝するばかりだ。