実は私、バスも好きです。

 初釜に出かける姪を送った帰り、日立自動車の「はるかぜ」に新しく導入されたバスを見た。足立区のコミュニティバス「はるかぜ」は複数のバス事業者が委託を受けているが、我が家の地元は日立自動車交通の受け持ちである。2000年に数台の日野「リエッセRX」で運行を始め、そのうちに三菱ふそうの「エアロミディME」が導入され、現在に至っている。
 この際だから言うけれど、この「エアロミディME」というバスはお世辞にも優れているとは言えないバスだった。いわゆるノンステップバスで乗り降りに関しては楽なのだが、前方の入口から入ると巨大なタイヤハウスが張り出していてボトルネックになっているため、室内の狭隘感は否むことができない。実際、低床部は極めて狭く、6人分の座席を確保するのがやっと。後方の出口よりも後ろには9名分の座席が配置されているが、その通路は急な階段状になっているため、どうしても出口の前で乗客の動きが滞るし、階段状の通路に立って乗車することは事実上不可能なのである。バス停で「はるかぜ」を待っていて「エアロミディME」が来ると本当にがっかりしたものだ。こんなバスをどうして作ったのか、売ったのか、買ったのかと思っていたくらいである。
 ところが、今度のバスは日野「リエッセRX」の更新車両らしく、同じ日野の「ポンチョ(2代目)」なのだ。このバスが発売されたのは2006年のことだが、そのプロトタイプを2004年の東京モーターショーで見たし、その後、2007年の同ショーでも見た。実際に運用されているのに乗ったのは吉祥寺周辺を走る「ムーバス」でのことだが、とにかくよくできたバスだと感じた。タイヤとエンジンを可能な限り前方及び後方に配置したため(つまりホイールベースがものすごく長いため)全長7メートルの車体でありながら、低床部の長さがその半分、つまり3メートル50センチを超えている。乗り込んでみると、驚くほど広々としているのだ。私がここで日野のバスを持ち上げたところで何の得にもならないのだが、よいものはよい。そういうことだ。とりあえず、今度「はるかぜ」に乗るのが楽しみになってきた。