文学士気質

 生田は今日が最後の授業日ということでテストを課す。ライティングの方は問題数が多く、時間配分を間違えた学生は気の毒だった。平常点で評価するクラスなので、テストは大学から義務づけられているものではない。その意味では、今回のテストの結果がすべてではないので安心してもらってよいのだが、受けた方とすれば心配なことだろう。とにかく採点を急ごう。
 リーディングのクラスでは、古書店に案内してもらいたいという学生が1人。授業中に紹介した『教壇の英文法』に興味を持ったようで、入手したいと言うのである。インターネットのオークションなどでは法外な値がついているようで、とても手が出ないらしい。私のコレクションの中から1冊をあげようかとも思ったが、古書店を巡る楽しみも味わってもらった方がよいかと思い直した。テスト期間が終わったら一緒に出かけよう。
 学生時代、原孝一郎先生が引用句辞典についておたずねした私を西ヶ原書店まで連れて行ってくださったことを思い出す*1。ネット万能の時代にあって、ともすれば忘れられがちな古書店巡りのような古典的な「手法」が、新しい人々に引き継がれていくことをうれしく思う。

*1:http://d.hatena.ne.jp/riverson/20080313/1205413803