秋田へ

 生田での授業を終えてから秋田へ。盛岡に向かう車窓は右手の山並みが美しい。雲間から太陽の光を受けて遠くの山が白く輝いて見える。盛岡は大学時代の憧れの街。初めて訪れたのはJR東日本の「EEきっぷ」を使ってのことだった。車内から眺める駅周辺の変わりように驚く。
 秋田行きの車両が切り離され田沢湖線の区間に入ると、そこはまさにローカル線のおもむき。暮れかかった木立の中には遅く咲いた桜が1本、2本。線路は川の流れを縫うように敷かれているのだろう。その姿はせせらぎであったり急流であったりする。
 とっぷりと暮れた窓の外に、家の灯りがぽつりぽつりと見えるのが懐かしい。列車は大曲でスイッチバック。盛岡からこちらでは、新幹線も日常の足の感覚で使われているようだ。何人もの人が乗り込んでは降りていく。聞き覚えのあるゆったりと柔らかなことばが、旅にある思いを増幅させる。
 秋田には20時過ぎに到着。駅前の木立が迎えてくれた。新しい宿に荷物を置き、午後に現地入りし事務作業をしてくれていた仲間たちに合流。街角で北陸からお見えの会員の方に出くわし、全国大会のためにさまざまの人がここに集まって来ていることを実感する。開幕は明日。