4つのS

 あまり聞いたことのない事故で新幹線が止まった。テレビのニュースで「研究会の発表だったんですが、もうダメです」という人の声を聞き、身につまされる思いがした。例えばいのちにかかわるような大きなことを抱えて乗っていた人も、乗れずに困っていた人もいるのだろう。鉄道がさまざまの人のそれぞれの事情を運んでいることをあらためて思う。
 電灯が消え暖房も止まった車内は寒かったろうと思ったのだが、暑くて蒸し風呂のようだったという。ただ、一方で日が陰りかけてからは寒かったとの声も。事実は想像をはるかに超えてしまう。
 それにしても、日夜、保守・点検を重ねている「はず」の日本の「大動脈」が架線のトラブルが原因で止まってしまうとは。何か大切なことをおろそかにしていたのではと心配してしまうのは私だけだろうか。
 東京の地下鉄が帝都高速度交通営団という古くさくていかめしい名前の「営団」によって運行されていた頃は、地下鉄の S のマークは Subway の S のほかに、4つの S を表していると言っていた。それはつまり Safety・Security・Speed・Service。S のマークを M に替えてからはちょっと好みに合わないのだが、いずれにしても、この4つはどんな鉄道にも大切なことだと思うよ。まあ、新幹線が止まって引き合いに出される東京メトロも、とんだとばっちりだけれど。