坂をめぐる

 年に一度の「東京の坂を歩くツアー」に出かける。大げさな名前だが、実際は大学以来の友人であるK君と二人きり。あいにくの雨模様だったが、11時に湯島駅で待ち合わせて歩き出した。
 まず、湯島天神の男坂(おとこざか)・女坂(おんなざか)を上り下りしたあと、春日通りの切通坂(きりどおしざか)を上がって本郷へ出た。本郷では、菊坂(きくさか)を中心に鐙坂(あぶみざか)・炭団坂(たどんざか)・本妙寺坂(ほんみょうじざか)・新坂(しんざか)・胸突坂(むなつきざか)といったところをめぐってみた。
 初めて歩く道を進んでいくと、思いがけずよく知っている通りに出てしまって驚く。自分の足で歩いてみなければ、つながらないものがあり、わからないことがある。一歩一歩に発見があることを知ると、町を歩くことがやめられなくなる。


*写真は、雨に濡れた鐙坂。