第二の故郷

 福島県の須賀川は父が戦中と戦後の一時期を過ごしたところだった。まず、学童疎開の際に宿泊所として指定されたのが駅に近い宿屋。疎開から帰ると間もなく空襲で焼け出され、家族ともども移り住んだのが、やはり現在の須賀川市だった。東京に生まれ東京に育った父にとって、須賀川はまさに「第二の故郷」と呼ぶべき場所だったと言える。
 温泉めぐりを楽しんでいた頃、父は好んで福島県内の宿を選んだものだった。僕もついて行ったおかげで、ずいぶん県内の地理に詳しくなった。
 今日は、喜多方まで足を伸ばし、若松、猪苗代とめぐり、磐越道、常磐道を通って帰宅。大きな混雑もなく快適な旅だった。
 何年かぶりに野口英世記念館を訪れたが、あの人の生涯を知れば知るほど、金の貯まらない人間というのはいるものだと思う。亡くなった時に持っていたという5ドル札を眺めながら、慰められたり励まされたり身につまされたりしていた。