引き継がれる願い

 神保町で月例研究会。日本における英文法の史的展開に関する若い研究者による発表は、さらに若い人たちを大勢含むフロアの熱気と、何人もの質問者からの数々の視点の提供によりますます興味深いものとなった。事務局の先達であるI先生は志半ばにして亡くなられたが、先生がまさに生涯をかけて追い求められた日本の英文法の実相が次の世代によって語られているその場にいて、先生とご一緒できたならと何度も思ったことだった。
 研究には大胆さも必要だが、一方で緻密さも不可欠だ。若い人たちが間違いをそのままにしないよう、わずかでもこの道に長くいる者として、少々うるさいことも言わねばならない。私自身、誤りを指摘され、顔から火の出るような思いをしたことは一度や二度ではないが、そうして鍛えていただいたのだとの思いも強い。それにしても、私のような者がうるさい役回りを演じることになろうとは、思えば、もうそんな年齢になったということなのねん。