そういえば、黒奴というお菓子の工場は同級生の家だった

 新年度、授業が一巡するまでは何かと落ち着かない。身体を慣らしながら、ぼちぼちと準備を進めつつ、徐々にペースをつかんでいく。
 贈答品として用いられることも多いYと言えば青山が本店の有名な洋菓子店だが、帰宅するときれいな缶が2つテーブルの上に置かれていた。どこかからいただいたらしい。
 ここのお菓子をいただいて封を切るとき「まあ、青山の風ね」なんて思う人がいるのかと思うと、いつも申し訳ないような気分になる。ここの工場はうちのすぐ近くにあるのだ。僕が小さかった頃は、B級品を格安で譲ってくれたりもしていた。おかげで、ここのお菓子に関しては今でも地元の工場の品物という気分がまったく抜けずにいる。
 青山の本店の厨房でもお菓子を焼いてはいるようだが、贈答用に各地に出荷されているものは、うちの近くの工場のほか栃木県内の2か所の工場で作られているらしい。都会のお菓子だと信じていた人、封入されているのは「青山の風」ではなく、足立区は梅島の消防署の裏の空気だったりするわけで、なんだかどうにもすみません。