もう割箸はいらない

 懐かしい卒業生と渋谷で会う。この街に出ると、S先生と校外補導に出たことを思い出す。
 道玄坂の居酒屋。鮭のかま焼きやらもろきゅうやらを肴に泡盛をぐびぐび飲っているEの隣で、Yはマンゴーラッシーとファジーネーブルですっかりいい気持ちになっている。中学3年のときに担任を持った彼女たちも、もうすっかり呑める年齢になってしまったわけだなあ。
 高等学校を卒業して2年。さまざまの経験の末に大学に進む道を選んだというEの話に、深い苦悩の跡を見た思いがした。勇気を持って歩みを進めてくれることを願わずにいられない。