バーバーミツヨ

 ずいぶん前のことだが、京都の大学に進んだ卒業生が、月に一度は髪を切ってもらいに東京に帰るという話をしていた。ずいぶん贅沢な暮らしぶりだと思った覚えがあるが、気がつけば、自分も小さな頃からずっと同じ床屋さんに通い続けている。
 親父さんに聞くと、そういう人はめっきり減ったが、まだ何人かはいるようで、いちばん遠くに住んでいるお得意さんはマレーシア在住とのこと。年に何度か、仕事で一時帰国するたびに通って来ているのだそうだ。
 私の場合、そう多くもない髪を切ってもらうのは、1か月半に1回のペース。4000円は痛いと言えば痛いが、私の頭の形も髪の質も熟知している親父さんにかなう人は、まずいないのである。