教育課程を通じて経験すること

 国立で2コマ。今年度の最後の映画には、トム・ハンクス主演の『ビッグ』を選んだが、今日はその2回目(始めから30分〜60分の辺り)を見た。ジョシュが、玩具店の床に備え付けられたフット・ピアノで、玩具会社の社長と連弾(?)する場面が印象的なパートだ。
 この映画は毎年見ているのだが、例年、学生たちはこのシーンに異様に大きな反応を示す。映画の中で二人が演奏しているのが、彼女たちがピアノの試験に課される曲なのだという。
 この大学は体育の単科大学だが、実は、すべての学生に音楽が必修科目として課されている。かつて「女子体操音楽学校」を名乗っていたこの大学が、大切に守っている伝統のひとつだ。つまりは、この大学の卒業生は、上手か下手かはともかくとして、全員がピアノを弾けるということなのである。
 小・中・高と11年も音楽の授業を受けて、ピアノの指づかいも知らぬまま大人になってしまった自分に比べると、この学生たちは、苦労も多いのだろうが、実によい経験をしていると思う。では、中・高の6年間におよぶ英語の授業を通じて、私たちが生徒たちに経験させてあげられることとは、いったい何なのだろう。学習指導要領案を読み続けていた頭で、ふと考えてみたりする。