すずらん通り慕情

 夕方から家庭教師。その前に神田神保町に寄って書店を廻る。
 やっぱり頼りになるのは「東京堂」だなあと再認識。木造の建物だった頃に父に連れられて来て以来、この書店が好きなのである。階段を上がったところにあったコーラの自動販売機を懐かしく思い出す。ビン入りのファンタグレープをよく飲ませてもらったものだ。
 向かいの「冨山房」の1階がドラッグストアに変わってもう何年になるだろう。大学時代、この出版社のことを「『冨山書房』の誤植じゃないかと思うんですが」と言った同級生がいて愕然としたことも懐かしく思い出す。
 マイナーな本が眺めたくなったが、すでに「書肆アクセス」は無く。もう1年以上になるのか。やっぱり悲しいことだな。高知で出版された槙村浩の詩集をここで手に入れたときのこと、岩手放送が出版した『岩手百科事典』を何度も手に取りながら諦めたこと、あれこれ、やはりまた懐かしく思い出す。