学園三部作を歌う同僚を思う

 遠藤実氏の追悼番組をチラッと見た。私たちは「スター誕生!」などという番組を毎週楽しみに見ていた世代であり、最もなじみの深い遠藤氏の曲は森昌子の「せんせい」ではないかと思う。森昌子のレコード会社が「ミノルフォン」だということも知っていた。ただし、その名が遠藤氏の「ミノル」という名前から取られたものだと知るには、少し時間が必要だった。
 かつての同僚に、森昌子の歌を完全にコピーできる英語の先生がいた。その人とカラオケに行くと、決まって「学園三部作」と呼ばれる「せんせい」・「同級生」・「中学三年生」の3曲を全部歌ってくれた。彼女は画面には目もくれずに歌いきる。声色をまねするわけではないのだが、発声と言い節回しと言い、まさに森昌子そのものだった。
 何度も聴いて覚え、それを上手に再現する。才能なのか、努力なのか。あるいはその両方か。K先生は優れた指導者だったが、それ以前に優れた学習者であったのだと思う。